遺言

自筆証書遺言

遺言には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の三種類があります。
今回はその中の自筆証書遺言について詳しく解説します。
先にポイントを挙げておくので、そちらを念頭に置きながら記事を確認してもらえればと思います。

ポイント

・全文、作成日付、氏名は手書きして押印すること
・誰に何を相続または遺贈する旨を書くこと
・推定相続人に対しては「相続する」または「遺贈する」という記載方法
・相続人以外に対しては「遺贈する」という記載方法
・訂正は厳格な形式で行うこと

自筆証書遺言の特徴

自筆証書遺言とは、その名の通り自筆で作成できる遺言書です。
少し前のドラマなどで出ているものをイメージしてもらえればと思います。
自筆で作成できるので、一番手軽で費用もかかりません。
しかし、デメリットもあり、最低限のルールを理解して作成しなければ無効になる可能性があります。
その他にも、基本的には自分で保管するので紛失や改ざんなどのリスクもあります。

しかし、保管に関しては法務局が代わりに保管してくれる「自筆証書遺言書保管制度」というサービスが2020年より開始されました。
法務局へ出向く手間と保管料3900円の費用がかかりますが、それでも公正証書遺言と比べると簡単に作成できます。

自筆証書遺言の作り方

では、実際の作成方法について説明します。

自筆証書遺言の様式について

本来、自筆証書遺言の様式等は特に定められてはいません。
しかし、前述した「自筆証書遺言書保管制度」を利用する場合は決められた様式があります。
当初自宅保管していたが、途中でこの制度を利用する場合に作り直しにならないように始めからこの様式で作成することをオススメします。

自筆証書遺言のルール

次に一番大切な書き方のルールです。
こちらは民法968条第一項に規定されています。
以下の規定に適合していないと遺言書の内容が無効になる可能性があるので注意しましょう。

ポイント

  • 遺言書全文の自書
  • 作成日付の自書
  • 遺言者の自署
  • 遺言者の押印

どんなペンで書けばいいか?

用意に消えないボールペン等で記入する

「令和〇年〇月吉日」の記載は可能か?

日付を特定する必要があるので、そのような記載は不可

ペンネームなどは有効か?

住民票に記載されている氏名を記載する

実印ではないといけないか?

認印でも可能だが、シャチハタは避けること

本文を書く時の注意点

次に、遺言の実際の中身の部分である本文の書き方の注意点について説明します。
遺言書に書くことは結局のところ、「誰に何を渡すか」というところです。
つまり、その対象が特定できるように記載する必要があります。
例えば、「誰に」という部分は福島花子(生年月日:昭和〇〇年〇月〇日生まれ)など
「何を」という部分が不動産であれば不動産番号、地番、家屋番号を、預貯金ならば銀行名、支店名、口座番号を記載するなどです。
別紙で財産目録を添付することもでき、こちらは不動産の登記簿や銀行の通帳をコピーしたものでもOKです。

また、誰に何を~の~の部分には「相続させる」または「遺贈する」といった文章が入ります。
これらの違いは推定相続人に対しては「相続させる」を使用し、相続人以外に対しては「遺贈する」を使用します。
特に推定相続人に対しての文章は、後の遺産分割時や相続登記時に問題となる場合もあるので注意しましょう。

訂正の仕方

遺言書全文は手書きなので、書き損じた場合の訂正も覚えておきましょう。
書き損じた箇所を二重線を書いて、その上に押印します。
その後、下の空きスペースに訂正箇所と〇字削除〇字追加と記入して署名します。
詳しくはサンプルを確認してください。

まとめ

今回説明した自筆証書遺言は、公正証書遺言と比較すると気軽に作成できます。
当事務所では、遺言書を作らないよりは自筆証書遺言でもよいから作成することをオススメします。
作成自体は手軽ですが、遺言書の作成には、推定相続人と財産の調査等、その他推定相続人への配慮等も必要になります。

その点、当事務所では年間1万円で自筆証書遺言の作成サポートを何度でも受けられるサービスを行っています。
これには少しでも遺言書を作成しようと思う人を増やしたい、作成に前向きな方をサポートしたいという思いがあります。
私は遺言書の作成に死期はあまり関係ないと思っています。
遺言書を作成することによって、これからの人生を大切に過ごすことのきっかけになったり、周りの人に感謝することに繋がるものだと思っています。

もし少しでもご興味がありましたら、いつでもお気軽にお問い合わせください。

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